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Bさんの家づくり 疑ってかかった家選びのゴールとは

 
Bさんはサラリーマン。家を建てたときの年齢は40代前半で、4人家族。上のお子さんが小学校に入ったところで、下のお子さんが1歳のときでした。

「家を探し始めて、数か月経った頃、勉強会のチラシが新聞に折り込まれていたのです。小さな用紙でモノクロ。正直、安っぽかったですね。だからむしろ気になって。ただ、書いてあることが自分にフィットしたのです。『こんなことにお悩みではないですか』というやつです。だから、ちょっと勉強会をのぞいてみようかと思って、私一人で行ってみました」

Bさんは当時、少なくとも東京近郊では、一戸建てというのは建売りを買うものだと思い込んでいたそうです。確かに、そう考えている方は少なくないと思います。不動産屋に行けば、間違いなく建売りを紹介されます。それで3軒くらい回ったところで、『そろそろ決められてはどうですか?』と言われる。こちらは、『いやいや、そんな簡単に決められません。まだ気に入ってないですし』などというやり取りをする。

Bさんも、そんな感じで、3カ月ほどで実に100軒ほどの建て売り住宅を見たそうです。土地を購入して家を建てるという選択肢ももちろんあるわけですが、Bさんはその可能性を否定していました。なぜならば予算的に無理だと不動産会社の担当者から吹き込まれていたからです。

「『土地を購入して家を建てるとなると、高いですよ。お客さんの場合はやっぱり建売りですね』と言われ続けていたのです。でも、やっぱり気に入らない。それはそうですよね。あつらえたわけではないですから、気になるところがどうしてもある。『もっとこうならばいいのに』とか、『もう少しここを広げれば使いやすいのに……』と思える」

そんな時に、Bさんは私どもが主催する勉強会のチラシを見たわけです。

「ただ情報収集の一環でした。目先を変えたいというのもあったかもしれません。そうしたら、家作りを終えた施主の人なども出てきて、体験談を語っている。変わった会社だなと思って印象には残ったのですが、そのときはそれだけで、また戻るとは思いませんでした」

その1カ月ほど後に、Bさんは自由設計という触れ込みの売り建て住宅で、条件が合うところに出会うことができて、その物件を申し込んだそうです。そこまで進んだのですから普通であればそれで終わりです。ところがBさんは意外な行動に出ます。私は常々、家で大事なのは建築現場だと言い続けています。その話がどうやらBさんの心に残っていてくれたようです。

「一生の買い物ですから、申し込みをすると同時に、その会社が扱っている同様の住宅の建築現場を見せてほしいと頼んだのです。建築会社の人は怪訝そうな顔をしていましたが、不動産会社の担当者が頑張ってくれて、なんとか現場を見ることができました。その結果、不安が募ってきたのです」

「もちろん、専門家でもない私が何か不都合な場面を見つけたと言うわけではありません。専門家が見ればわかる差も、私にはわかりません。ただ、建築現場全体から醸し出されるものが嫌だったのです。フレンドリーじゃなかったのかもしれません。そこで、帰ってきてから、事務所でいろいろと浮かんだ疑問を投げかけて、設計変更の打ち合わせをしました。しかし、打ち合わせにはならなかった。建築確認が終わっているので、間取りは変えられないし、ベランダを少し伸ばすことも無理だと言われました」

極め付けはドアの高さでした。家の中のドアの高さが180センチだったのです。Bさんは背が高いので、それでは頭をぶつけてしまう。だから「ドアの高さを少し上げられませんか?」と聞いたそうです。当然だと思います。しかし、それも「無理です」の一言。いろいろと聞いてみると、実際には何も変えられないということがわかったのです。壁紙すら変えられなかったと言います。

『建売り』ではなく、まさに『売り建て』です。ある会社で建てることを条件とした建築条件付きの土地であったり、一見は自由な土地であっても、実は、実質、予算面などで他の選択肢は残されていないようなケースです。まず売って(契約して)から建てる家です。フリー設計とか自由設計とうたっていますが、この話のように、まず変更はできません。できるとしても、決して安くはない追加費用が発生します。

「明日が契約という日になって、モヤモヤした気持ちが高まってきました。妻とも相談してやっぱり止めようと、キャンセルを決めました。不動産屋さんには迷惑をかけたのですが、この家に住んだら、家族で喧嘩になるかもしれない。そう思えたのです」

その日のうちにBさんは私どもの会社を再訪してくれました。営業担当者と3時間以上話し込んだそうです。

「最初の1時間は愚痴です。こんな経緯でもうへとへとなんだ。結局、私に買える家はないのだろうか? と言っていたと思います。もうしばらく、賃貸でもいいとさえ思っていました。もう、建売りは買いたくなかったし、注文住宅はその時点でも無理だと思っていましたから。そこからいろいろと話を聞いて、いろいろな選択肢がまだあるということを知りました。3時間経った頃には、簡易の見積もりも作ってもらっていました」

もちろん、契約などという乱暴な話ではありません。その時点ではまだ土地もありませんでしたから、「土地がもしこんな状態で、家がだいたいこんな仕様であれば、このくらいの値段で、工期はこのくらいです」という内容の見積書です。

「実は、当時は社宅に住んでいて、半年後には出なければいけなかったのです。その時点に引き渡してもらうためには、着工はいつが限度かといった話までしていました。もう建売りはこりごりだったので、次には土地を探そうと思いました。しかし、その探し方もわからない。また向こうの術中にははまりたくなかったので、その探し方も根掘り葉掘り聞いて、でも、そこまでしてもらっても、まだタマックにお願いするとは決めていませんでした」

その後、現場を見てほしかったので、現場見学会にお誘いして、それからお付き合いが始まりました。

「結局、掛かった費用の総額は、予算の上限値ではありますが、建売りを探していたときから考えていた範囲で注文住宅ができました。私の勝手な思いかもしれませんが、この家がもし建売りで出ていたら、この額では買えないと思います。もっと高額な建売り物件もたくさん見ていますから、そこは自信があります」

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